羈旅的日剰備忘録

或る種の逃避記録

香港有情友情夜話

舊暦九月十二日のホンハム界隈

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
※以下Facebookに投稿した記事を轉載しておきます
昨日は今回の香港訪問を象徴する日になりました。(少し長く、深い内容を含みます)
お昼にジェニファーさんとホンハム駅で待ち合わせをし、飲茶式の昼食を共にしました。通っている学校が近い息子さんの俊樹君も来てくれて、初めての対面を果たしました。(メガネをかけた感じや雰囲気が由樹君そっくりで、すぐわかりました。長女の美樹さんは多忙のため、今回は会えなくて残念です。)
ホンハム駅は大陸からの鐵道の終着駅ということもあり、自分も何度も利用しました。小村夫妻が結婚後最初に居を構えたのもこのホンハム駅のすぐ近くで、「必發大厦」という印象的な名前のアパートを訪ねたこともあります。
三人の会話は日本語と広東語と英語を交えてのユニバーサルなものでしたが、亡き由樹君の思い出を中心に、英国留学希望(航空系エンジニアの勉強がしたいとのこと)の俊樹君のことや、多忙なジェニファーのこと、そして日本のことなど話題は尽きません。LINDENJIという妙な友だちが居ることは由樹君から何度も聞いていたらしく、由樹君も頻繁に小生のブログをチェックしていたようです。とにかくじっくり観察されてしまいました。(^^;) 1時間ほど話しをしましたが、彼は颯爽と学校に戻っていきました。再見!
実はこのホンハム、香港人にとっては大半の人の葬儀が行われる奥津城で、駅の近くには各種葬儀会館が建ち並んでいます。李小龍ブルース・リー)をはじめとした名だたる有名人や金持ちが使う九龍殯儀館や、質素な公立のものなどいろいろなカテゴリーのものがあるようです。由樹君の葬儀もそのなかの一つで行われるのですが、ジェニファーさんのたっての願いで、骨壺を決めるという重要なシーンに立ち会うことになりました。
大陸でも見かけたことがありますが、ここ香港の骨壺は貴石や玉石、またはそれに類する美しい石を刳り抜いて作られており、かなり重いものです。喉仏とか特定の部位を尊ぶことは無いようで、骨灰は全て集め砕き、残さず収納するとのこと。多くの人は翡翠のような色や独特の縞模様が入ったもの、または黄色系のものを選ぶようですが、日本では多くが純白の陶磁器製であることを伝えると、葬儀社の人も驚いていました。ジェニファーさんや葬儀社の担当者と協議の結果、形状は変えられませんが日本人にも受け入れられることなどを考慮して、美しい白玉製のものを選びました。
骨壺の表面には金文字が彫刻されるのですが、香港人の場合出身地や一族の属性も記されます。ジェニファーさんは「日本國 北海道」とすべきかそれとも「釧路」を入れるべきか迷っておられましたので、急遽釧路のお父様に電話し、隣田寺が事情を説明し、お父様の希望で「日本國 釧路市 小村由樹霊藏」に決定しました。
既に棺桶はジェニファーさんが決定し、葬儀社預かりになっていましたので、その再確認と、式場の再確認にも立ち会わせていただき、香港に於ける葬儀事情の詳細を知ることになりました。
ともあれ此処ホンハムは、由樹君が香港に於ける第一歩を記しジェニファーさんと楽しい日々を過ごした思い出の地であり、期せずして終焉の地ともなってしまったわけです。
見方を変えれば、どこかはわかりませんが彼は我々の世界のすぐ隣に居て、我々が行くことの出来ない別世界での旅を開始したのだということも出来るでしょう。あらためて彼の冥福と、別世界での「一路平安」を祈るばかりです。
それにしても由樹君との再会を果たせなかったことは残念でなりませんが、このような場面に立ち会わせていただき、それなりの役を与えていただいたことを考えると、隣田寺が香港に来た意味もそれなりにあるのではないかと自覚する次第です。
ー合掌ー
※ここに紹介する画像はすべてジェニファーさんの許可をいただき掲載するものです。
 
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