羈旅的日剰備忘録

或る種の逃避記録

かわらけたそがれ

舊暦十月四日
焼成實験覺書
材料は遺跡採集のシルトであるが、良く練れば平坦な造形は可能。1~2日の天日乾燥を経て七輪での焼成の結果、罅割れや胎土の崩れは無し。色調は7.5YR6/8橙色~5/6明褐色。遺跡出土のかわらけは土中のミネラル分や有機物が長時間に亘り含浸された結果、ややくすんだ色調のものが多いが、焼成直後の發色はこれらに近かったと思はれる。焼成温度は推定500~550度ほど。余り強く力を入れなくても割れて仕舞ふ(硬めで緻密なクッキーのやうな感じ)が、元より使ひ捨てのかわらけなら十分用途を果たすことが出来る。但し、液體を入れる器としては透水性が良すぎて漏れて仕舞ふので、ごくごく短時間の使用しか出来ないが、盛り鹽とか少量の供物の受け皿としては使用可能。轆轤仕立ての土師器皿は粘土が主體で、其の混和材料としてシルトで増量してゐるものもあるだらう。